みなさんこんにちは!

ハンニバルの忠臣担当の細川です!
ついに2024年のラマダンが始まりましたね!今年のラマダンは3月10日から4月9日までとのことです。

前回チュニジアへ行ったときがちょうどラマダンで、およそ1年が過ぎました。殆ど食べられなかったのも、今となってはいい思い出です。

さて、そんなラマダンはイスラーム教徒にとって最も重要な期間です。

ところが、同じイスラーム教を信仰する国でも地域差があるようです。

それでは、今回はイランで行われているお正月「ノールーズ」をご紹介します!

 

  

1.イランのお正月「ノールーズ」

  

 3月20日の春分の日はみなさんどう過ごしましたか?

私は祝日だということをすっかり忘れていたのですが、定期訪問しているイラン人のお客さんはやたらと電話かけまくっていました。

話を聞いてみると、どうやら新年のご挨拶をしているご様子!

そう!3月20日、春分の日はイランではお正月。彼らにとって最も重要な伝統行事の一つです。

イランの言葉で「ノー」は新しい、「ルーズ」は日を意味します。
寒い冬を耐え忍んだ植物が新芽をつけて花を開き、人々の心も身体も明るくなるこの季節こそ、新しい年の始まりにふさわしいという、伝統的な考えに由来しています。

天文学上の正確な春の始まりがイラン人にとっての「お正月」とされるので、日本の春分の日と必ず同じ日になり、太陽が春分点と呼ばれる場所を通過した瞬間に年が明けます。

 

 

2.3000年以上昔から行われてきた非イスラーム教の伝統行事

 

ノールーズの起源はイラン最古の王朝の王「ジャムシード」によって作られたとされています。ジャムシードは仏教の「閻魔」と同一視され、ユダヤ教の伝説の王「ソロモン」と同一される伝説の王様です。

イランの文化遺産である『王書』によれば、伝説の王ジャムシードが戴冠したときに太陽がその冠を照らし、それを見た人々がお祝いしたという伝説が残っています。

ノールーズの記録も古くから残っており、少なからず2500年前の偉大な王「キュロス」によって国家的祭日に決定し、ペルセポリスの遺跡の壁にもその様子が刻まれています。それから何千年も経て、イスラーム教を信仰する今でも「ノールーズ」はイラン人にとって最も大切な祝祭なのです。

 

 

 

3.イラン版七草粥「ハフトスィン」

 

ノールーズを迎えるために、各家庭のお母さんは新い洋服や靴を揃えたり、お客さんのために甘いお菓子を作ったりと、何週間も前から準備します。
もちろん、年末の大掃除もこなし、重くて大きなあのペルシャ絨毯も水とブラシでゴシゴシ洗います。

中でも忘れてはならないのが「ハフトスィン」です。

ハフトスィンとは頭文字が「S」から始まる7つの飾り物のことで、必ず植物でなくてはなりません。

 

Sieb=りんご:美しさ
Sanze=緑色の草:再生
Samanoo=小麦から作られたモルトというお菓子:豊さ
Senjed=グミ:愛
Seer=ニンニク:清潔さ・健康
Serke=酢:喜び
Sonbol=ヒヤシンス:春

 

イランでは7は神聖な数字です。日本人が「ラッキーセブン」と喜ぶのと同じですね!

また、植物とは別にコーランや金魚鉢、鏡や蝋燭を飾る家庭もあるそうです。

7つの植物というのが、日本の春の七草みたいですよね!
実はイランの文化と仏教はお互いに影響し合っていて、もしかしたら七草粥の由来にもなんらかの影響を与えているのかもしれません。

 

 

4.日本のお正月みたいに過ごす?年末の大掃除から新年のご挨拶まで

 

新年になったら、親戚や友人の家を訪問し、抱き合って頬にキスを交わして新年の挨拶とお祝いをします。また、子どもにお年玉をあげたり、この日のために用意していた服を着るなど、どことなく日本のお正月と似たようなことをします。

 

その後13日にわたるノールーズが終わると、最終日に「スィズダ・ベダール」という日本の花見によく似た行事が行われます。

「13」は悪い数字で、それを乗り越え、そして悪魔を家から追い出すために緑が豊かな川沿いへピクニックへ出かけるのです。その時、正月の間に育った麦の芽の葉を結びながら、自分のお願いが叶うように祈ります。

神社で御神籤を結ぶのと似ていますね。

 

 

5.イラン以外の国でも祝われる?

 

「ノールーズ」は中央アジアで広く祝われ、カザフスタン、キルギス、パキスタンやトルコ等の国々でも国家の祝日と定めています。

カザフスタンではノールーズの日に雨や雪が降ると良い1年が訪れるとされ、地域によっては格闘競技などの娯楽が催されたり、詩を読む集会が開かれたりするそうです。

そしてやっぱり、子ども達にとって重要ななのはお年玉イベント!

イスラーム教ではこの時期にラマダンを迎え、学校も春休みには入っています。そんな中で行われるノールーズはさぞ、楽しみに違いません。

私も欲しい!

というわけで、中央アジアのみなさん、明けましておめでとうございます!

みなさんもぜひ、「ノールーズ」を祝ってみてくださいね。

私はお子さんに「イランではお正月だから、お年玉ねだってきな」と入れ知恵しよう火と思います。

それでは次回もお楽しみに!

 

 

細川美優